「自然死のすすめ」(掲載時期:2017年7月)
“死”は、日常に取り上げて話題にするほど軽いものではありませし、無意識のうちに遠ざけているものです。
それでも、人に寿命がある限り、誰もが避けては通れないものです。
特別養護老人ホーム常勤医師の著書「自然死のすすめ」は、現場での体験をもとに現実を直視するとともに、現代の医療の在り方に疑問を投げかけている内容になっています。
共感できる点も多く、”老い”と”生と死”とは、切り離せない関係との思いを深くします。
一部内容を抜粋して紹介します。
①自然死のしくみ
飢餓と脱水による餓死。
死に際では、命の火が消えかかっているため、腹も減らないし、のども渇かない。
但し、人間が極限状態に陥った時、恐怖や苦痛という精神的、肉体的な危険からからだを守る仕組みから脳内にモルヒネ様物質が分泌されるために痛みを感じない。
“飢餓”は、脳内にモルヒネ様物質が分泌され、いい気持ちになって幸せ気分に満たされる。
“脱水”は、意識レベルが下がってぼんやりした状態になる。
②老衰死の特権
まどろみのうちにこの世からあの世へ移行。
死に際になると呼吸状態も悪くなり、酸素不足、酸欠状態になる。炭酸ガスは排出されずに体内に留まる。
酸欠状態では脳内にモルヒネ様物質が分泌される。炭酸ガスは麻酔作用があり、これが死の苦しみを防いでくれる。
死というのは自然の営みであり、そんなに苛酷ではなく、痛みや苦しみもなく、不安や恐怖、寂しさもない。
③自然死の対極にあるもの
攻撃的治療、人工延命措置。
今は、3人に1人ががんで死ぬといわれるが、医者の手にかからずに死ねる人は少ない。
がんは治療をしなければ痛まないのに、医者や家族に治療を勧められて、拷問のような苦しみを味わった挙句に息を引きとる人が多い。
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